ルールと価値基準の違い
会社が違うということは、会社の歴史が違い、社員の考え方が違います。同じ業界での転職であっても、会社の立ち位置や業績が異なるだけで、まったく別の会社生活を送ることを理解する必要があります。
勤怠管理
以前の会社では、社員証を機械に通すことで出社・退社時刻を勤怠管理システムに記録していました。その記録に基づいて勤務時間、残業時間が算出され、給与に反映されていました。
現在の会社では、そもそも社員証がありません。出社、退社時のタイムカードもありません。出社、退社時刻はすべて自己申告で、勤怠管理システムに自分で時刻を入力するのです。ルーズといえばルーズですが、そのような会社のほうが世の中には多いのかも知れませんね。どちらが良いのかといえば、それはルーズなほうが時間を操作しやすい点で被雇用者にとってはメリットがありますが、残業時間に対する会社からの圧力があると、フルの勤務時間を申告しにくいデメリットもあります。
ものごとの優先順位、価値基準
以前の会社では、QCDのいずれに対しても徹底管理されていました。品質はそれを担保するためのテストアプローチをPJ初期段階で策定し、実施結果から統計的に、定量的に品質保証を分析していました。コストは、特に作業時間に対するコスト意識を理解させることを重要視し、予算に対する原価を4半期ごとに組織単位で発表する場がありました。納期はもっとも重要な指標で、遅延しないための計画を事前に策定し、遅延するリスクが高い場合や遅延している場合は、残業と休出を繰り返してでも納期を遵守する文化でした。
現在の会社では、品質を担保するためのテストアプローチはおろか、単体テストでさえもPJの作業計画に含めないことが多く、不具合を未然に防ぐという考え方よりも、不具合が発生した場合にその都度対応する、という考え方です。コストは、残業時間に対する上限は決まっているものの、作業自体の効率性、生産性を追及するような文化はなく、費用がかかるのだから仕方ない、という考えが普通のようです。
納期は、遅延しないように”がんばる”という精神論が根強く、論理的に計画することがありません。納期遅れにより余程の事態を招かない限りは許容されるため、PJ計画に根拠のある説明が大きく欠けているケースがとても多いと感じます。
会社に何を求めるか
上記のように、入社してみないと分からない実情が必ずあります。求人情報の文面だけでは、企業文化は全く分からないのです。その上で、そのギャップが自身の会社生活にとって重要であるものならば、入社前の段階で十分に知っておかなければなりません。そのためにも、転職前の会社で自分にとっては好都合、不都合だった事項を分析し把握することが極めて重要と言えるでしょう。
年収が100万上がれば良いと漠然と思って転職し、年収は十分に上がったものの休みがほとんど無い、または自身の能力をはるかに超えた業務を強いられる、という事態もしばしばあるものです。