システム開発とは?その1
システム開発の流れを、流通業界のコンビニを例に説明します。コンビニで発生するすべてのイベントが、人手を省くことができるシステム化の対象になります。
ITシステムとは何か
ITシステムとは、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体を指します。要素はコンピュータなどのハードウェアと、ハードウェアに実装されているソフトウェアに該当します。それらの全体像を思案し、動作させ、人間が必要とする手続きの自動化を目的とした活動を、システム開発と言います。
なぜITシステムを作るのか
人間が経済活動を行うときに、ルールが必ず存在します。そのルールを情報技術を使って一手に吸収し、サービスの受け手(ユーザ)がルールを意識せずに利用できることが最大のメリットであり、ITシステムを作る動機です。
コンビニエンスストア(流通業界の例)
例えばコンビニでおにぎりを買うとしましょう。客はおにぎりを店内から探し出し、自らレジへ持って行き、店員はおにぎりのバーコードに機械をかざします。するとおにぎりの代金がレジに表示され、客は代金を支払います。これによっておにぎりの購入が成立します。このとき、自動化したい手続きを考案してみましょう。
状況の整理
[ 客の行動 ]
- コンビニに来店する
- 店内からおにぎりを探す
- おにぎりをレジに持っていく
- 代金を支払う
- おにぎりを受け取り、お店を出て目的地へ向かう
[ 店員の行動 ]
- レジの機械をおにぎりにかざす
- 代金を受け取る
左記のように並べてみると、おにぎりを購入するためにこんなにも多くの手続きを行っていることに気づきます。特に、客にとって煩わしい手続きが一つでもあれば、販売機会の損失となり得るため、コンビニにとっては手続きを一つでも多く減らすことが重要となります。
そこで、次のような手続きの簡略化を考案します。
新しいビジネスモデルの考案
[ 客の行動 ]
- コンビニには来店せず、携帯電話で商品を閲覧する
- 欲しいものをクリックすることで注文する
- 数分後、注文した品物が手元に届く
[ 店員の行動 ]
- 携帯電話からの注文を確認する
- 注文のあった品物を届ける
- クレジットカード会社から、商品の代金を受け取る
[ クレジットカード会社の行動 ]
- 客の代わりにコンビニに代金を支払う
- 客の銀行口座から代金を引き落とし、受け取る
大きな特徴としては、携帯電話でWEBから商品を注文し、手に入れることが出来る仕組みになっているため、コンビニという店舗自体が不要になります。健常者はもとより、障害者の客にとっても有益なシステムと言えます。一方で、商品を手にとって選ぶことが出来ない、物理的な硬貨やお札ではなく、電子マネーを用意する手続きが予め必要、というビジネス的なデメリットも存在します。
なお、レジの機械とはPOS端末を指しています。POS端末によってバーコードから得られた情報は、商品の売上や在庫、売れた時間など、コンビニを運営するに当たって極めて重要な情報です。POSシステムは、流通業界の経営活動に最も貢献しているシステムの一つと言えます。
POS端末によって得られた情報から、在庫管理や需要予測を行い、商品を管理していくことをSCM(サプライチェーンマネジメント)と言います。トヨタ自動車のカンバンは、世界的に有名なSCM手法の一つです。また、このようなシステム化のメリットとデメリットを踏まえ、ビジネスモデルを考案していく仕事がコンサルティングです。